「巡り」


Aug 15, 2021



地元を出てから10年がたった。気づけばいつも、変わることと変わらないことの狭間にいる気がする。この10年で自分もずいぶん変わった。知らないことを知れば知るほど変わっていく。世の中には変わらないものもある。だから変わっていることが目立つ。コントラストが濃くなる。



時折自分が育って来た場所を振り返ると、変わっていく自分が怖くなったりする。自分が育って来た場所が、自分を育ててくれた人が、遠のいていく気がする。そんなはずはないのに、自分だけがどこか別のところに向かっている気がして怖くなる。そんな時はお墓に行く。お墓の前で、見たこともない家族たちと会話をする。この人たちも自分を育ててくれた人たち、なのに生きているみんなより、もっと近いところにいる気がする。自分は今、きっと生きてるみんながまだ見たことがないものを、みんなが見えなかったことを、みんなが見たかったことを、自分が見ようとしてることを伝える。それだけで遠のいている気が少しだけマシになる。そうしてまた旅路につく。


いつしか大切だった人とも、もう会えなくなった。家族ってもののコントラストは濃くなった。おかげで自分には嘘をつかなくなった。嘘に生きることはしなくなった。みんなが僕を強くしてくれている。この記憶はみんなのものになる。



© 2021 I'mbient.

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