「二十一歳の頃」


2021, July 15



去年から、精神世界という分野に関わることも多くなった。だけど、正直その手の勉強という勉強はしてこなかった。精神世界の本も、殆どが興味がなかった。

唯一、二十代になって、勉強になったのは横尾忠則氏の本だった。おそらく二十一くらいの時だと思う、彼の絵を観て衝撃を受けた。漠然と自分が思い描いていた、あちら側の世界がそこにあった。以来、彼の本を読み込んだ。

彼はグラフィックデザイナーであり、画家であると同時に精神世界に精通していた。彼の描く精神世界はどこよりもリアルだった。美しいものと残酷なものがそこに統合されていた。そこに当時の僕は深い真実味を感じていた。横尾さんはUFOの研究にも熱心だったらしい。研究会を立ち上げ、そこには名だたる芸術家たちが集ったそうだ。そこに三島由紀夫や美輪明宏もいた。

いつかそんな横尾さんに会いたくなり、成城のアトリエに突撃訪問したこともあった。時に自分の行動力に驚かされる。彼はもちろん不審の目で僕を見ていた。突然変な少年がアトリエに来て、相当困らせてしまったと思う。若気の無責任な行動だった。

その時に初めて、人のオーラを見た。薄緑色のモヤのようなものが彼の周りを包んでいた。あまりに驚いてしまって、しばらく瞳孔が開いたまま彼の前で黙り込んでしまった。横尾さんが三回ほど「何の御用ですか?」と聞いてようやくその状況に戻ってきた。僕の気持ちを吃りながら伝えてアトリエを立ち去った。横尾さんには本当に申し訳ない。

そんな風に精神世界のことはそんなに学んでこなかった。できることは、やっぱり音なんだと改めて思うことが増えた。過去の芸術家が、そう気づいてやってきたように、個人を解体し、大切なものを解体して、世界を包括していくこと。その循環の一部に出来るだけなれるように、それだけ努めていきたい。

© 2021 I'mbient.

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